腎泌尿器科
腎泌尿器系は、体内の老廃物を尿として排泄する経路です。腎臓と尿管からなる上部尿路、膀胱と尿道からなる下部尿路から成り立っています。
上部尿路のトラブルで代表的なのが、腎機能が低下する慢性腎臓病で、中高齢の猫でよくみられます。結石により尿管が閉塞すると腎後性の腎不全になります。このような状況では、嘔吐や食欲不振、元気消失といった症状が出ることがあります。
下部尿路に異常が出ると、膀胱炎による血尿や頻尿、雄に多い尿道結石による排尿不全(尿が出ない)といった排尿に関する問題が生じます。血尿の背景に膀胱腫瘍が見られることもあります。
複数の検査を組み合わせて、腎泌尿器系のどこにどんな異常があるかを調べていくのが大切です。
腎泌尿器科の検査
問診
排尿の量、頻度、色や尿がしっかり出ているか、トイレに長時間こもっていないか、トイレの環境等を問診します。
触診
腎臓や膀胱のサイズ、疼痛の有無をチェック。
血液検査
BUN(尿素窒素)やCRE(クレアチニン)、電解質といった一般検査に加えて、当院ではCREより早期に腎機能の低下を検出可能なSDMA(対称性ジメチルアルギニン)を調べることが可能です。
尿検査
尿蛋白の有無、血尿の有無、尿糖の有無、尿pH、尿比重、尿結晶(ストラバイト結晶、シュウ酸カルシウム結晶等)のチェック
特殊な機械を使う検査
腹部レントゲン検査
腹部のレントゲンを2方向で撮影し、腎臓、尿管、膀胱、尿道の評価を行います。
各部位のサイズや結石の有無などを評価します。
腹部超音波検査
超音波診断装置を用いて、左右の腎臓や尿管、膀胱、前立腺(雄の場合)、尿道の状態を確認します。
尿管結石では拡張した腎盂や尿管、閉塞している結石を確認することもできます。超音波検査では、レントゲンで検出できない結石を見つけることもできます。
UPC(尿蛋白/クレアチニン比)
一般尿検査の蛋白尿は非定量的(色の変化を機械で読み取る検査)ですが、UPCは特殊な機械を用いて尿中のタンパクが尿の濃さに影響を受けずに数値で確認することができる検査です。
蛋白尿の有無を正確に評価することで、腎臓の状態をより詳細に把握し治療に結びつけます。