少々厄介な尿石症、シュウ酸カルシウム
今回は尿石症の1つ、シュウ酸カルシウム結石症についてです。
ワンちゃん、ネコちゃんの尿石症は9割がストルバイト結石症とシュウ酸カルシウム結石症と言われており、その2つ発生率はほぼ等しいと言われています。 ストルバイト結石症は感染症に付随して起こる事が多いのですが、シュウ酸カルシウム結石症に関しては感染の有無は関係ありません。
シュウ酸カルシウム結石は尿が酸性に傾くと出来やすいとされています。
↑シュウ酸カルシウム結石
症状として、トイレに行く回数が増える、おしっこが少ししか出ない、トイレでうずくまっている、血尿が出る、などがあります。
おしっこと一緒に砂状の結晶や結石が出て、猫砂やシートの表面がキラキラ光って見えることもあります。 尿道に結石が詰まると、おしっこが出なくなる尿道閉塞がおこり、1日以上おしっこが全く出なければ、急性腎障害から尿毒症になり命に関わる危険な状態を引き起こしてしまいます。
また、治療ではストルバイト結石はお薬やお食事で溶かす事が可能ですが、シュウ酸カルシウム結石はお薬やお食事で溶けることはありません。
そのため、シュウ酸カルシウム結石症になってしまった場合、外科的な摘出を考えなくてはなりません。
手術方法は、結石が存在する部位によって異なります。 腎臓に結石が出来てしまう腎結石、腎盂結石に対しては腎切開術・腎盂切開術が必要です。 尿管結石に対しては、尿管切開術というとても緻密な手術が必要になってきます。 尿道を通過できる大きさの結石だった場合はおしっこと一緒に出てくる事もありますが、それ以上の大きさの膀胱結石は膀胱切開による外科的な治療が必要になってきます。
そのため、早期発見・早期治療が大切な病気です。
また、摘出したとしてもそこで治療が終わりになる訳ではありません。
再発を防ぐ為に、
①お水をたくさん飲む
②ビタミンC、ビタミンDが入ったサプリ、カルシウム薬、シュウ酸・カルシウムを多く含む野菜(葉菜類…ほうれん草、ブロッコリーなど、お茶、バナナ、タケノコなど)やフードをあげない
③シュウ酸、カルシウム、ナトリウムが少なく、リンとマグネシウムが適切なご飯に変える
などが必要になります。
その後、定期的におしっこをチェックし、シュウ酸カルシウム結石が出来ていないことを確認していきます。
尿のpHや結晶の有無は尿検査でわかります。また、通常の尿の色に見えても、実は血尿が起きている場合もあります。それを調べるためのヘモグロビンチェッカーというものもありますので、お気軽にご相談ください!