循環器科

猫ちゃんの呼吸が速くなったら要注意です!! 〜閉塞性肥大型心筋症〜

「呼吸が速くてぐったりしている」とのことで、猫ちゃんが来院しました。
診察室で様子を見ると確かに呼吸が速く、聴診で心雑音も聴取されたためレントゲン検査と心臓超音波検査を行うことになりました。
すると、レントゲンで肺が白くなっている様子が確認されました。

 

肺が全体的に白っぽいです。

猫ちゃんの呼吸数が明らかに増加する時は怖い病気が隠れていることが多く、検査も慎重に行う必要があります。
レントゲンだけでは病気の鑑別ができなかったため、心臓超音波検査を行うと心臓(左心室)の壁が分厚くなっており、その厚みは特に左室流出路という左心室の出口付近で顕著でした。
以上の様子から、心臓病に伴う「肺水腫」と判断し、呼吸が楽になるように酸素室に入れてあげながら、利尿剤を含めた複数のお薬を使用して治療を開始しました。
数時間後、呼吸が落ち着いたところで再度レントゲンを撮ると、肺の白さが改善していました。

 

肺の白さが改善しました。

改めて詳しく心臓超音波検査を行うと、心臓(左心室)の壁が分厚くなっており、その厚みは特に左室流出路という左心室の出口付近で顕著で、血液の乱流も認められました。
また、僧帽弁逆流も見られ左心房の拡大もありました。
このようなタイプの心臓の異常を「閉塞性肥大型心筋症」といいます。

 

 


左室流出路の乱流と僧帽弁逆流
Ao=大動脈 LA=左心房

この子は、「閉塞性肥大型心筋症」の結果、血液がうっ滞し、肺の中に水が貯まる「肺水腫」という状態になり呼吸が速くなっていたのです。
現在は、内服薬を使用することで状態が安定しています。

猫ちゃんの心臓病は、症状が出るまで気付きにくく、重症になってから発見されるケースが多いです。
血液検査で心臓病の兆候がないか確認できる「NT-proBNP」という項目もあり、この検査のおかげで心臓病が早期に見つかるケースも増えてきました。

今まで調べたことがない方は是非一度検査を受けてみてください。

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