循環器科

先天性心疾患肺動脈弁狭窄症について

肺動脈弁狭窄症は国内ではチワワやポメラニアン、ヨークシャテリアなどの小型犬に多い先天性心疾患です。
先天性心疾患のうち、発生頻度がおよそ30%と、最も発生が多いというデータがあります。
(D.Schrope JVC 2015)

心臓では、右心室から肺動脈弁を通過し、肺動脈を通って肺へと血液が運ばれます。
肺動脈弁狭窄症は、右心室の出口から肺動脈のどこかが生まれつき狭い、肺動脈が癒合(くっついてしまう)ことにより生じます。

右心室から血液がうまく送りにくくなるため、右心室に負荷がかかり重度になると右心不全兆候が強くみられ、呼吸困難や失神が見られるケースもあります。

診断は聴診、レントゲン検査、超音波検査で行います。
その中でも特に超音波検査が重要で、狭くなっている部位の血液の流速を測定することで重症度を判定することができます。
若齢で軽度の場合、聴診で心雑音が聴取されにくく数年後に発見されることもあります。
また、肺動脈弁逆流を併発するケースもみられます。

<狭窄部の血流速度>
3.5m/秒以下→軽度
3.5-5.0m/秒→中等度
5.0m/秒以上→重度
(Textbook of Canine and Feline CARDIOLOGY 2nd edition, LLL, 2009)


右室流出路の血流速度


肺動脈弁逆流

画像のように中等度以上で、かつ症状がある場合は治療が推奨されており、全身麻酔下でバルーン拡張術や体外循環法で手術を行うことで治療します。
また、麻酔をかけての処置を行わない場合は内科での治療を検討することもできます。

若いから大丈夫!と油断せず、定期的に聴診を受けたり画像診断を受けるようにしましょう!

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