早期の診断が大切です!! 〜僧帽弁閉鎖不全症(MI、MMVD)ステージB1〜
僧帽弁閉鎖不全症(MI、MMVD)は、中高齢の小型犬で最も多い心臓病です。
この子は、聴診をしたところ心雑音が聴取されたため、日をあらためて心臓の検査をすることになりました。このとき、心臓病による症状は全く見られなかったです。
レントゲン、超音波検査で心臓の状態を確認すると、僧帽弁領域で血液の逆流(僧帽弁逆流)がみられ、僧帽弁閉鎖不全症があることがわかりました。
MR=僧帽弁逆流
ここから重要なのが、僧帽弁閉鎖不全症の重症度の見極めです。
僧帽弁閉鎖不全症は、ACVIM分類という重症度分類があり、重症度に応じた治療が推奨されています。
聴診での心雑音の大きさ(Levine分類)、レントゲンでの心臓サイズ(VHS)、超音波検査での左心房のサイズ(LA/Ao)および左心室のサイズ(LVIDDn)、これらが全て基準を超えている場合をステージB2といい、ステージB2からはお薬を使って治療を開始することが推奨されています。
ステージB2から治療を開始することで、うっ血性心不全が発症するまでの期間もしくは心疾患で亡くなるまでの期間を平均15ヶ月も延長することができるという研究データが出ています。
ワンちゃんにとっての15ヶ月間は、人の時間に換算すると5-6年に相当するので非常に長い時間です。
幸いこの子は、僧帽弁逆流はありましたが、心臓のサイズは基準値を超えていないステージB1だったため治療対象とはならず、定期的に経過を見ていくことになりました。