呼吸器科

鼻腔狭窄

鼻腔狭窄とは生まれつき鼻の穴が狭い状態のことを言います。この状態は見た目ですぐに分かります。鼻が狭くて症状が重いと鼻呼吸をする際にブーブーと音が鳴ります。症状が軽い子でも運動時や興奮して息が荒くなった際に音が出る子もいます。

鼻腔狭窄を起こしやすい犬種は短頭種と呼ばれるブルドッグやフレンチブルドッグ、パグ、ペキニーズ、シーズー、ボストンテリアなどのいわゆるマズルが短い子たちです。短頭種の子たちは短頭種気道症候群と呼ばれる病気『鼻腔狭窄、軟口蓋過長症、喉頭室外板、咽頭虚脱、気管虚脱』を複合的に引き起こすことがあります。

鼻の穴が狭いと呼吸をするときに息を吸う強さが強くなります。常に強い力で息を吸う状態が続いてしまうと気道の圧力が上がり、その結果として気管の軟骨が変形して凹んでしまう気管虚脱の原因を作ってしまいます。さらにその状態が継続すると気管虚脱のグレードが進行してしまい、呼吸困難や体温調節がうまくできずに高体温や失神の原因になり、悪化すると命に関わる状態になることがあります。

根本的解決には外科治療で鼻の穴を広げる外鼻腔拡張術を行います。これは鼻の穴の狭い部分を切り取って鼻の穴を広げる手術です。術後は鼻の通り道が広がり、鼻呼吸がとても楽になります。今までブーブー聞こえていた呼吸音がなくなってスースー通るようになります。

また、鼻腔狭窄を患った子の多くは軟口蓋過長症を持っている場合があり、ガーガーを巻き込まれるような呼吸音も伴っている場合が多く、この病気も気管内圧を上昇させる一因となりますが、軟口過長症に関してはまた別の症例で詳しく書きます。

鼻腔狭窄を患った1歳未満の犬に外鼻孔拡張と軟口蓋切除を行った場合の短頭種気道症候群の改善率は96%の一方で、より高齢で手術を行った場合の改善率は69%に落ちます。また、病態が進行した場合の短頭種のオペはよりハイリスクとなりますのでオペをするメリットとリスクを検討し、総合的に判断していきます。気管が変形する前に予防的に手術をすることがこの病気のポイントとなります。

 

 

症例についてです。

フレンチブルドッグの6ヶ月の子の鼻腔狭窄です。

鼻の穴が狭くて呼吸をするときにブーブーと音が鳴っていました。

鼻の穴が見えないのが分かると思います。

オペ後の写真です。

鼻の穴が大きくなりました。

鼻呼吸の際のブーブー音が出なくなりとても呼吸が楽そうです。

結果として呼吸時の圧力を下げることができ、気管虚脱の予防につながりました。

このように鼻が狭い子は若い頃に予防的な手術をすることをお勧めいたします。

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