呼吸器科
呼吸器系とは、鼻腔や咽頭、喉頭などの上気道、気管・主気管支からなる中枢気道、そして末梢気道・肺により構成されます。これらの呼吸器系にトラブルが生じると、くしゃみや異常な呼吸音、咳、呼吸困難、チアノーゼといった症状が見られます。
このような症状が確認されたら、ひどくなる前に来院していただくことをおすすめします。
気管支鏡検査や血液ガス分析、VALF解析、CT検査など、より高度な機器・設備が必要と判断された場合は、呼吸器専門医への紹介も可能です。
呼吸器の検査
視診
呼吸数、呼吸様式、可視粘膜(チアノーゼの有無)をチェック
触診
CRT(毛細血管最充満時間)、カフテスト(気管を軽く圧迫し咳が誘発されるか)、体型(漏斗胸など)をチェック
聴診
肺音、頸部気管音、咽頭音のチェック
血液検査
一般検査に加えて、CRP(犬)やSAA(猫)といった急性炎症の検査の他にもフィラリア予防を行なっていない犬の場合、フィラリア症に罹患していないかの検査も行います。
特殊な機械を使う検査
胸部レントゲン検査
胸部のレントゲンを2方向で撮影し、咽喉頭部、気管、気管支、肺、血管の評価を行います。胸水、気胸の有無も確認します。気管虚脱を疑う場合、通常の吸気時撮影(息を吸った時)に加えて呼気時撮影(息を吐いた時)の撮影も行い、その差を評価します。肺腫瘍の疑いがある場合は、3方向からレントゲンの撮影を行うこともあります。
肺の超音波検査
超音波診断装置を用いて、肺の左右3ヶ所ずつを確認します。正常な領域で確認され、気胸などで増強されるA-line(Aライン)、肺水腫や肺炎など肺胞内に液体が貯留することで生じるB-line(Bライン)、肺腫瘍などの確認のために行われる検査です。
この検査は、特に重症例での有用性が高いです。重症な呼吸器疾患の場合、レントゲン撮影で身体を横に寝かせるだけで呼吸が止まってしまう子もいます。酸素をかがせながら、伏せの体勢で迅速に肺の状態を確認しどこに異常があるのかを見つけることが重要です。
当院では、昨年最新の超音波診断装置を用いることでより正確な診断が可能になりました。
PCR検査
外部の検査センターに検体を送付し、呼吸器系の感染症の遺伝子検査を行うことができます。
犬パラインフルエンザウイルスや犬呼吸器コロナウイルス、猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスなどの感染症の検出に有効な検査です。